北海道オリンピア株式会社 取締役会長 宮本和久氏(60歳)

北海道オリンピア株式会社 家庭の台所と生産農家をつなぐ廃食油リサイクルに貢献

家庭や飲食店から出る使用済みてんぷら油が自動車を走らせ、農家のビニールハウスを暖める。燃料機器の開発に力を注ぐ北海道オリンピアが取り組む廃食油リサイクルは、原油高騰に苦しむ北海道経済に明るい光を与えている。私たちが固めて捨てていた廃食油がいまでは買い取りの対象となり、さらに“もうひとはたらき”してくれるという。どういう仕組みかを同社宮本和久会長に解説していただいた。

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ストレート・ベジタブルオイル(SVO)車に挑戦

天ぷら油の“もうひとはたらき”を知る前に、まずはバイオディーゼル燃料(以下BDF)についておさらいしておこう。BDFとは植物油脂からつくられる軽油代替燃料のこと。燃焼の際に発生する二酸化炭素は植物が大気中から吸収したものであるため結果的に二酸化炭素の排出量はゼロカウント、環境や人体に悪影響を及ぼす黒煙や硫黄酸化物もほとんど排出しないため、いま世界的に注目を集めている燃料である。

近年は国内でも京都府や民間企業がBDF製造普及を進めているが、北海道オリンピアの宮本会長はこうした事態を冷静に見つめていた。「BDFは製造過程で出るグリセリンの処理方法が問題になっていますし、自動車を走らせようとして軽油と混ぜて使う場合、いまの税法ではさまざまな手続きが必要となります」。

ならばいっそ家庭で使い終わった天ぷら油をそのまま燃料として使用するストレート・ベジタブルオイル(以下SVO)車に挑戦できないか。宮本氏の創造力に期待する産業技術総合研究所(産総研)からの薦めもあり、廃食油リサイクルへの取り組みが始まった。


国産中古車をSVO車に改造。エンジントラブルもなく6万km走破した車は現在も走行記録を更新中

原油高騰に泣く北海道農家のために

北海道オリンピアはまずはじめに使い終わった天ぷら油をこすためのろ過装置を開発。次に軽油と天ぷら油がタンク内で混ざらないようにするための2タンク方式を編み出した。

天ぷら油で車が走る。2006年春、ニュースはたちまち全国に広がり、関心を示した足利工業大学工学部の根本泰行講師が早速詳細を問い合わせてきた。同大学との共同研究は進み、現在は本州のある自治体の公用車にも同社開発のSVO車が採用されているという。

この実績が弾みとなり廃食油リサイクルは次の大きな目標、農業支援へと進んでいった。原油高騰がもたらす道内農家への打撃は深刻だ。かといって冬場のビニールハウス栽培を休めばガラス製のハウスは積雪で押しつぶされ、さらに深刻な経営難につながる。通年の野菜・果樹栽培を可能にする廃食油活用ボイラーを作ろう。具体的な目標が見えてきた。


SVO車の目印はこちら。同社の廃食油回収車ももちろんこのプレートつき

24時間頭のなかは廃食油を燃やすこと

廃食油リサイクルの試みはHiNTも加わり、2007年の北海道中小企業支援センター採択事業「灯油/廃食油ハイブリッド小型バーナー及び温風・温水ボイラーの開発」として動き出した。「口で言うほど簡単ではなかった」と振り返る宮本氏に開発秘話をうかがったところ、最大の難関は廃食油を燃やすことだったという。

火にかけっぱなしの天ぷら油が火事を起こすのは気化した油への引火が原因だ。そこで宮本氏はどろりと粘度の高い廃食油の粒子を細かくすることに着目。メーカーに製造を依頼したオリジナルのノズルで空気噴霧させることを思いついた。

ところが今度は噴射時の空気圧速度が速すぎて着火してくれない。着火に灯油を使い、のちに廃食油だけの力で燃焼を継続させようとしたが、灯油のパワーが強すぎて廃食油単独では火炎が小さくなりすぎてしまう。結局最後にたどりついたのが着火にガスバーナーを使うこと。ガスなら着火後に消しても影響は少なく、灯油よりランニングコストが抑えられる。試作品の完成後、検査に訪れた北海道立工業試験場の関係者からは「難題だと言われてきた廃食油をよく燃やしましたね」と手放しの賛辞を受けたという。


試行錯誤の知恵が結実した「灯油/廃食油ハイブリッド小型バーナー及び温風・温水ボイラー」

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  • 北海道オリンピア株式会社
  • 〒007-0880 札幌市東区丘珠町516番地7
  • TEL. 011-786-9292 FAX. 011-786-9300
  • http://www.olympia-co.co.jp/
  • 代表者/代表取締役 宮本 和久
  • 従業員数/16名 
  • 設立/1987年7月
  • 資本金/2,300万円
  • 事業内容/暖房・燃焼機器の開発、製造、販売、廃油リサイクル事業