株式会社サークル鉄工 開発部研究担当次長 山本信弘氏(51歳)(右)
株式会社サークル鉄工 農業機械部研究開発担当課長 川井邦義氏(53歳)(左)

主力製品であるビート移植機や育苗用機械、野菜選別機など高性能の農業機械を世に送り出してきた株式会社サークル鉄工。近年では北海道工業大学の協力のもと、鮮度センサー付き大葉選別包装機の開発にも取り組み、初めての産学官事業を経験した。現在は環境に配慮した新製品が全国から注目を集め、第二の看板商品に成長中だという。新たな市場開拓への挑戦が始まっている。
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株式会社サークル鉄工の創業者・少覚納(しょうかくおさむ)氏が滝川市に社屋を構えたのは1949年のことだった。当時の社名は「サークル鉄工場」、家庭用金物や農業器具の製造・販売を行っていた。「社史を読むと、家庭用のかまどなども手がけていたようです」と同社開発部の山本信弘次長はいう。
企業理念は、失敗を恐れず“アイディアに生きる”こと。農家や加工業者から「こういうものは作れないだろうか」と相談されたらまずは試しに作ってみる。作る前からあきらめたり断ったりはしない。そうしたものづくりへの情熱が創業60年を経た今も、「Creation創造」「Challenge挑戦」「Consentration集中」の社訓の中に息づいている。
自社の農業機械部には現在12名の研究開発員が在籍する。電気や油圧など各自の得意分野を総合させて、数々の製品を生み出してきた。なかでもビート移植機は高い技術力と功績が認められ、1993年には科学技術長官賞を受賞した。

農業機械部の壁には国内外の特許状がずらりと並んでいる
砂糖の原料であるビート(甜菜)栽培は、収量を出すためにあらかじめハウスの中で育苗したポット(紙筒)を圃場に移植する。育苗ポットが1400本並ぶ1ブロックは土も含めて60キロ近い重さになる。それを圃場に何往復もして運び、1本ずつ手植えしていく作業は農家にかなりの負担を強いてきた。日本甜菜製糖株式会社は、この一連の作業を機械化できないかとサークル鉄工に打診し、同社のビート移植機開発が始まった。
「人間なら苗の状態を見ながら土に押しつける力を変えたりと微妙な手加減をしていきますが、機械はそうはいきません。その加減ができる制御機能を組み込むことが一番の難関でした」と山本次長はいう。「時のセンサー技術では思い通りにいかず、開発が中断した時期もありました。ようやく納得できるところまでセンサー技術が進化したのはそれから約10年後。北海道道立工業試験場さんにマイコンのインターフェイスについて相談にのってもらったことも力強かったです」。そうしてついに1号機が完成すれば、より高い作業効率を求めて移植畦数や使用苗箱に応じた姉妹製品も増えていく。やがてビート移植機は誰もが認めるサークル鉄工の看板製品になっていった。

ビート移植機は全自動型が5種類、苗分離器使用タイプが15種類
サークル鉄工初の産学官プロジェクトは、2005年から取り組んだ大葉選別包装機の開発だ。もともと大葉(青じそ)を無農薬で育てるミスト農法を確立したオーツーコーポレーションからの依頼で二重被覆のビニールハウスを施工・販売していたところ、次なる依頼が持ち込まれた。収穫した大葉の品質を見極め、10枚単位に選り分け、包装までを1台でこなす機械が欲しいという。完成した大葉選別包装機の作業工程は次のとおりだ。
まず数十枚に積み重ねられた大葉から真空パッドが1枚だけ吸い上げ、検査テーブルに載せる。カメラが大葉独得のギザギザした形や色を読み込み、葉の先端が欠けていないか、黒ずみや枯れがないかなど規格外のものを識別する(あったものは後ではじかれる)。認証された大葉が10枚積み上がると自動的に包装ラインに運ばれ、袋詰めされていく。
と書いてしまえば簡単だが、相手は熟練農家も手を焼く繊細な大葉だ。その一台には複雑かつ高度な技術が集約されている。そしてさらにそこに「鮮度センサー」という新たな付加価値がつけられていく。

大葉選別包装機の図面一部。真空パッドの吸着度や画像処理などの課題を1つずつ解決していった
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