この記事の内容は取材日=2009年3月23日時点のもので、現時点では組織構成などが変更されていることがあります。

好奇心旺盛、新事業に前向きな十勝気質

 平成11年9月から、地域産業支援センターのコーディネーターとしてスタートをきった飛川さん。主な仕事内容は「企業の課題解決の相談・支援」だが、当初は本人もどこから手をつけていいのかわからなかった。幸い、十勝の人々は好奇心が旺盛で、新しいことへの関心も強い。センターの開設を聞きつけた地元企業からの積極的な問い合わせもあり、飛川さんは徐々に“求める人に正しい情報を的確にパスする”役割を理解していった。

 知のブレーンは頼りになる帯広畜産大学がいる。食のことなら十勝圏地域食品加工技術センターが。「コーディネーターである私の仕事は各専門の知識・情報を持っている方々とのネットワークづくり。自分ひとりでできることはたかが知れていますから」と語り、周囲との関係づくりに力を注ぐ。

相手は社員と家族を背負って立つ経営者

 元気な中小企業が多い十勝では、個性豊かな経営者も多い。ひらめいたアイデアや新技術を実現させたいと願う経営者の意欲は本物だが、そこには見えない落とし穴も潜んでいる。

 意欲が先行するあまり、実現の見通しが立たない事業に多額の投資をして本業に影を落としてしまうようでは本末転倒だ。そうならないように「ときには経営者の独走を止めるのもコーディネーターの役目」と飛川さんは主張する。

 「このままではいけないという明らかな独走を止めるためには、自分自身が正確な情報を持っていなければ。相手は組織を背負って立つ経営者です。独走を止めるだけでなく一緒に事業を進めていくためにも、対経営者にふさわしい話の運び方、物言い、納得していただけるだけのすべての情報を用意して、最終的には私を認めていただく信頼関係を築くことが大切です」

地下水の熱源活用で産学官の裏方役デビュー

 平成14年、飛川さんに大役がきた。地域新生コンソーシアム研究開発事業「採熱孔周辺の帯水層を利用した地中採熱・還元システムの研究開発」に管理法人の立場で参加した。十勝の肥沃な大地には平均10℃の豊かな水脈が走っている。この地下水から熱をもらい、地上での冷暖房の熱源に活用する事業だった。

 勤務3年目の飛川さんは事業の金庫番であり、進捗状況を把握する管理人であり、率先してプロジェクトの推進を後押しする裏方役でもあった。「このときが一つの事業に本格的に関わったコーディネーターとしての初仕事と言えるかもしれません」と振り返る。

 産学官は所属する組織も立場も異なる人間の集合体だ。「だからこそ調整役が必要になる」と飛川さんはいう。打ち合わせを一本設定するにも注意を払う。“メールを送っておいたから終わり”とは到底いかないようだ。「本当に大事なことは電話で直接念を押すようにしています。相手が忙しくて“メール? 読んでいない”ということも十分ありえますので」もしかして手痛い思いをした経験があるんですか?と尋ねると、「危ないところでした」と笑いながら教えてくれた。

採熱孔周辺の試験風景
継続採熱試験で使用していたヒートポンプ

ジャガイモ由来のペプチド製品が完成

 コーディネーターにとって参加した共同研究の商品化は何よりの励みになる。(…次のページへ)

飛川 剛さん

「納得していただけるだけのすべての情報を用意して、最終的には私を認めていただく信頼関係を築くことが大切です」

帯広畜産大学

 国立大学で唯一の畜産系単科大学で、獣医畜産を中心に北海道・十勝の地域性に立脚した「農」の知識が集まる。通称「おびちく」。

十勝圏地域食品加工技術センター

 各研究機関や大学と連携を図りながら、地域のニーズに対応した食品加工に関する試験研究・検査分析・技術支援を行う機関。帯広市。

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