地域のニーズに応えるGPS活用事例報告

セミナーの日時 2010年6月23日
セミナーのタイトル 地域のニーズに応えるGPS活用事例報告
講演者 羽二生 博之(ハニウ ヒロユキ)教授

      (北見工業大学 サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー長 工学部機械工学科 / 流体工学)
セミナーの紹介  近年、測量や大型土木工事現場へのGPSの導入が進み、作業効率が驚異的に向上しています。道内では、京極町での北電の揚水型発電ダムの建設現場においてGPSによる大規模なIT施工が実施されて来ました。北見地方においてもGPS測量が急速に普及し、デジタル画像ツールの活用と相まって、新事業を展開する企業も出て来ました。北見工業大学においても、地域のニーズに対応するために、平成15年からGPSを用いた研究を行っています。

 最初は測位精度が2~3cmという高精度なRTK-GPSを市販の中型除雪機に搭載するとともに除雪機の手動駆動制御部分をロボット化し、GPSからの現在位置情報を基に予め入力してあった計画軌道に沿って除雪機を自動的に動かして除雪を行うシステムを開発しました。

 その後、冬期間閉鎖される知床峠の山の急斜面を切り開いた道路での、所により7mもの積雪がある春の除雪において、除雪重機の現在位置を把握して安全に除雪作業を進めるためのGPSバーチャルビジョンシステムの開発を行いました。これは、積雪前に知床峠頂上付近の詳細な地形データをRTK-GPSや3Dレーザースキャナーで取得しておき、除雪時にコンピュータ画面に運転席から見た方向にある雪に埋もれた道路周辺地形を表示するものです。このプロジェクトは知床峠での現地実証試験を繰り返しながら、札幌のソフト開発会社や3Dレーザースキャナーを保有する苫小牧の測量会社も参加して、平成21年春の時点で市販可能なレベルのシステムを完成させましたが、携帯電話の通じない知床峠ではPDAを介したGPS誤差補正情報の入手が困難なため、現在は事業展開先を模索中です。

 さらに平成20年度からは、日本の食料自給率向上のための効率的な農地管理運営を支援するGPS誘導赤外線空撮システムの開発に着手しました。これは、上空から農地を近赤外線や遠赤外線で空撮し、作柄や土壌の不均一性を把握し、効率的な肥料散布や土壌改良に役立てようとするものです。これまで実機や農業用ヘリによる空撮は行われておりますが、運用コストが非常に高く、必要な時に手軽に空撮を行うことができなかったため、操縦が比較的簡単で維持管理コストの低い大型の模型飛行機にGPSを搭載し、無線モデムを介して現在位置を地上のパソコンに送信して、コンピュータ画面の電子地図上に飛行現在地を表示して機体を誘導するものです。このシステムは農業以外にも、航空測量への応用が可能であり、いくつかの測量関連会社とも共同研究を進めています。民生部品をフル活用し、システムの1式の導入コストは100万円以下を目指しています。

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