北のものづくりサポーター

北海道の産学官連携の要になる人々を紹介します

この記事の内容は取材日(2013年2月12日)時点のもので、現時点では組織構成などが変更されていることがあります。

北大第三の使命は「研究成果の社会還元」

 人口190万都市・札幌の都心部に広がる北海道大学は道内唯一の国立総合大学。自然公園さながらの緑豊かなキャンパスは知のプラットフォーム的な存在で、函館に立地する水産学部を加えた12の学部を横断する共同研究も盛んに行われている。

 教育、研究に続き、「研究成果の社会還元」を第三の使命とする同大学では北キャンパスの一角に北大産学連携本部を設置。企業と研究者のマッチングによる技術移転や研究プロジェクトの形成等を通じて大学と産業界を結ぶ役割を担っている。

 TLO部門の産学連携マネージャー城野理佳子さんは頼れるつなぎ手の一人となって今年で6年目。「函館、海、食品」という北海道ならではの分野を受け持ち、企業と研究者双方の声に耳を傾ける。

最初の課題は地元の人脈づくりから

 東京農工大学の博士課程で絹に関する研究をするかたわら、茨城県つくば市にある物質・材料研究機構に勤めること1年8カ月。知人の紹介で北海道大学創成科学研究機構(現・北海道大学創成研究機構)の特定研究部門に転職した城野さんは、北大工学研究科に入学。社会人ドクターとして工学博士号を取得した。

 創成時代からすでにハマナスを活用した基礎化粧品の開発など地元企業との連携プロジェクトに関わり、平成20年から公募が出ていた現職場の一員に。

 道外出身者であり北海道での企業経験がないため、手始めに学内の各研究室に顔を出すと同時に地元企業とのネットワークづくりから取りかかった。「産学連携に関心の高い企業が集まるHoPE(北海道中小企業家同友会産学官連携研究会)を頼ったり、同じ職場にいる民間企業出身の先輩たちに相談したりしながら人脈を広げていきました」

「北海道企業の力セミナー」を企画

 大学の研究者と地元企業の距離を縮めるために城野さんが企画したマッチングイベントがある。タイトルは「『北海道企業の力』セミナー」。…【次のページへ】

城野理佳子さん

国立大学法人北海道大学
産学連携本部 TLO部門
産学連携マネージャー
城野理佳子さん

北海道大学 産学連携本部

『北海道大学の研究成果としての知的財産の創造、保護及び活用を図るために、産学官連携及び知的財産に係る基本方針に基づき、知的財産の創造、保護及び活用の環境を整備するとともに、本学における研究成果の活用に関し、産業界等との連携の推進を図り、もって本学の知的財産を社会に還元することにより産業等の発展に資することを目的』とする北海道大学の部門。
(北海道大学 産学連携本部ウェブサイトより)

TLO

技術移転機関(Technology Licensing Organization)の略。大学等技術移転促進法・TLO法に基づき、大学の研究成果(発明、特許)を民間企業などへ技術移転することを目的とした機関で、産学官連携のうち「産」と「学」の仲介の役割を担う。


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