北のものづくりサポーター

北海道の産学官連携の要になる人々を紹介します

この記事の内容は取材日(2017年8月10日)時点のもので、現時点では組織構成などが変更されていることがあります。

3管内をカバーする道北地域の相談役

 一口に「道北地域」と言っても、上川・留萌・宗谷管内を足すと、面積は1万8,690平方キロメートル。全国で二番目に大きい県である岩手県とほぼ同等の広さに匹敵し、人口は北海道の11.5%に及ぶ約62万人が暮らしている。
 この広大なエリアを対象に産業の高度化や中小企業のものづくりを応援する産業支援機関が、一般財団法人旭川産業創造プラザである。

旭川産業創造プラザ
旭川リサーチセンター内にある旭川産業創造プラザ

 「旭川」と付いてはいるが、これはあくまでもプラットフォームの意味。同プラザが軸となり、他に5つの専門機関[旭川市工業技術センター・旭川市工芸センター・旭川食品産業支援センター・旭川ITジョイントセンター・(公財)北海道中小企業総合支援センター]がタッグを組んで「旭川ものづくり総合支援センター」を結成。
 さらに稚内、留萌、名寄・士別、富良野の4地域の[市役所・信金・振興局・商工会議所]と連携する「道北地域ものづくり応援ネットワーク」を作り、さまざまな実績を積んできた。

 平成23年に立ち上がった同ネットワークにより、プラザの相談件数は平成24年度の847件が平成25年度には1,130件に大幅アップ。漁業が盛んな地域もあれば、酪農、畑作、観光、木工等、各地の中小企業の専門分野も多種多様。北海道を凝縮したようなあらゆる分野の相談に応じている。

管・鋼・農の幅広い材料知識を買われて転職

 同プラザの看板コーディネーター、中川敏史さんは高校卒業後、管材会社に新卒入社。東京勤務の新人時代は配送から始まり、「そのときに自分たちが取り扱っている商品が、どこでどういう風に使われるかを見て覚えた経験が、今の仕事にも役立っている」

 北海道にUターン後は旭川支店で鋼材、農業資材を受け持ち、前者では同じ商品をどう売るかを考え、量ではなく届ける順番を意識した効率的な運送方法を業者と一緒に実現。後者では農家の要望に耳を傾ける提案営業の経験を積んだ。

 その後いくつかの職場を渡り、マニュアルづくりやシステムのデータ化といった物事をわかりやすく整理する手腕や材料全般に関する知識を買われて、平成18年に株式会社旭川産業高度化センターに転職。
 のちに同社は財団法人旭川生活文化産業振興協会に組織が移管され、中川さんも同財団に移籍した。財団名が旭川産業創造プラザに改称された以降は、“プラザの顔”として道北地域を走り回る多忙な日々を送っている(取材当時の平成29年は、北海道経済産業局に出向中)。

林産試の技術に旭川の老舗企業が着目

 企業支援歴10年のなかで最も思い出深いプロジェクトは、「旭川機械工業株式会社さんと道総研林産試験場との連携で開発した3Dターニングマシンです」。…【次のページへ】

中川さん

一般財団法人 旭川産業創造プラザ・企業支援グループ 主幹
中川敏史さん

旭川産業創造プラザ

一般財団法人旭川産業創造プラザは、道北地域(上川、留萌、宗谷)の産業の高度化、中小企業の支援を行うための良き相談相手。企業ニーズや大学・公設試のシーズを積極的に掘り起こし、産学官交流によるビジネスチャンスの創出に努める。同時に、各種相談やコーディネート、セミナーや研修会を通じた人材育成、インキュベートルームの賃貸や研究開発への助成など、新製品・新技術の開発や新分野進出に取り組む企業・起業家を応援中。


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